普通だった日常

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蝉も鳴かない。 ひっそりとした森。 そのなかで、 見た目の年は30代前半くらいの長い金髪を後ろでひとくくりにした男は 自分達が作った森の中の道を通り、 見上げても先端が見えないでかい木を目指した。 そのでかい枝に器用に寝ている人を見上げ、笑顔で近づき 楽しそうに話しかける。 「空也みっけー。」 小さな声は、木の葉の擦れる音によって高い位置にいる空也に届いているかは定かではないが。 風に揺れてふわふわと黒髪が寝ている空也の頬にかかる。 長い睫毛が微かに動き、開く。 青い瞳が声の主を探し、認識すると男の元へひらりと降りた。 「…ゼル院長、僕に何か用ですか?」 「ん。 ゙竹の間゙の時空を開いて欲しいんだ。 あのザルサルキノコとってきて新しいベッドを2つ作るよ。」 「一気に二人も増えるんですか?」 「うん。 見つけたんだよ、微かだけどアビリティを感じた。場所は日本。」 ゼルはニコニコしながら答えた。 日本への時空も開くなら開ける時空は2つか…準備しとこうと思いながら苦笑して空也は口を開いた。
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