ヤミヲカクシタパンダ

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『ヤミヲカクシタパンダ』 高校の入学式も終えた4月下旬頃。 なにもこんな時期に転校なんかさせなくても…って思うんだけどあたしは西浦高校へと転校させられた。 理由はお父さんの転勤。 もう高校生だしひとり暮らしをさせてほしいと頼んだけど許してもらえなかった。 やっぱり女の子を1人置いて行くのは心許ないのだろう。 「今日は転校生を紹介するぞー。そんじゃ倉橋、自己紹介してもらえるか?」 あたしの肩をポンと叩いて促す先生。 コクリと一つ頷いて先生からクラスのみんなへと視線を移した。 『東京の雫ノ原高校から転校してきた倉橋 実果子です。よろしくお願いしまーす』 特に愛想も振りまかずぺこりとお辞儀だけして自己紹介を済ます。 「倉橋の席はー…窓際の一番後ろでいいか?」 一言返事して席へと向かうとあたしの席の斜め前の子と目が合った。 あたしは軽く会釈してそのまま通り過ぎて自分の席へ腰を降ろした。
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