ヤミヲカクシタパンダ

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─田島side─ 「今日は転校生を紹介するぞー」 こんな時期に転校? バカ…ってことはねぇよな。 イジメに合って…とか?何にしても入学早々転校なんてしたくなかっただろうな。 『東京の雫ノ原高校から転校してきた倉橋 実果子です。よろしくお願いしまーす』 無表情で挨拶してお辞儀する倉橋と名乗ったソイツはモデルでもしてたんじゃねーかってくらいキレイだった。 クラス全員が見惚れてると思うくらいみんな倉橋から目が離せねぇでいる。 「席はー…窓際の一番後ろでいいか?」 オレの斜め後ろだ。 こっちへと向かって来る倉橋をじーっと見てるとオレの視線に気付いたのか何なのか思いっきり目が合ってしまった。 『…………………。』 倉橋は無言のまま会釈してオレの横を通り過ぎて行った。 まぁ転校初日だしそんなモンだろって思ってオレは席に着いた倉橋へと振り返ってみた。 『!』 「オレ田島!よろしくな、倉橋」 『あ…うん。よろしく、田島』 たったそんだけの会話だったけどオレは倉橋とは何か通ずるモノがある…何故だかそんな気がしてたんだ。 「ねーねー、倉橋さんって東京から来たんでしょ?モデルとかやってたのー?」 『は…?え…やってないけど…』 やっぱりと言うか倉橋は休み時間うちのクラスのヤツに囲まれてた。 「倉橋人気だな」 早弁組のオレと泉と三橋はクラスのヤツらが群がる輪の中から外れ遠めからそんな様子を見ていたんだけど、気になるのか泉がぼんやりと呟いた。 「気になんの?」 「そりゃーね。美人だし。田島挨拶してただろ?」 「おー、席近いし…やっぱキレイだし?なー、みはしーぃ!」 「う、うううん。倉橋さん、び、じん」 何回も頷く三橋を見てマジのリアクションだと悟って敢えて笑って流しといた。
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