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『あたしはパンダかよ…って感じ』
「何だソレ?」
『1日中珍しいモンでも見るみたいな目であたしのこと見てさ…別に楽しいコトなんか何もないのに…』
相変わらずの無表情。コイツは本当に笑わない。
『あたしのコト縛ってそんな楽しいのかな』
「は?」
『ねー、田島』
わけわかんねーこと言い出したと思ったら今度は名前呼ばれてちょっとビビった。覚えてたんだな。
『パンダってさー、実はぜんっぜん可愛くないって知ってる?』
「……知らねー」
『あんな可愛さアピールしてんのに実際チョー目つき悪いんだよ。全身真っ白になったらチョー怖いカオしてんだって』
「へー」
正直何が言いたいのかサッパリ。
『……あたしはパンダなんだ』
「!」
声のトーンが下がった…一瞬泣いてんじゃねぇかって思うくらい淋しげな声だった。
『みんな見た目に騙されてくっ付いてくる…あたしがどんだけ真っ黒なのかなんか気付かないでさ』
あぁ…コイツもきっといろいろあったんだ…真っ暗闇に包まれちまって身動きとれねーでいるんだ…そう思ったらオレは倉橋に向かって手を差し出していた。
『……なに?』
「オレらといればいいじゃん!」
『は?』
思った通りの反応。コイツがカンタンに人に懐くわけがない。
「オレとお前ってさ、なんか似てる気すんだ」
『…………………。』
「別にオレはムリな詮索はしねぇし、オレらといれば見せモンパンダみたいに人寄って来ねーだろうし…どうよ?」
驚いたように目を丸くする倉橋。少し考えた後溜め息吐きながらオレの手を握った。
『うん…』
その時一瞬だったんだけどパンダは笑った。
きっと他の人じゃ気づかねーくらいの変化。
でもオレにはわかっちゃうとかさ…やっぱオレらは似てんだと思うぜ?倉橋…。
To Be Continued...
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