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本日も、晴天なり。
「……よし」
鏡の前でネクタイを締め、今一度可笑しなところがないか確認する。
ただ純白のタキシードは、何度も見ても違和感しか感じることができなかった。
「お、大将決まっとるやないか」
その声に振り返ると、部屋の入り口から覗くようにして顔を出している友人達の姿があった。
「章吾、俊君、満君」
「式前に挨拶に来たで~」
「さすが真君、似合ってるよ」
「高校ん時の『白馬の王子様グランプリ』で上位入賞しただけあるな」
「もうそれはいいってば」
満君の言葉に苦笑する。
「まぁ準備できてんならええんや。さて大将、着替え終わったらまず何をせなあかんと思う?」
「……何をするの?」
「決まっとるやろ。……これからのパートナーに顔見せや」
その言葉にハッとなった。
「向こうも準備終わったらしいよ」
「行ってやれ」
「……うん!」
三人にお礼を言うと部屋を出る。
やや早足で通路を歩き、目的の部屋の前で立ち止まる。
そしてゆっくりと息を吐くと、扉を叩いた。
「どうぞ」
中から声が聞こえ、僕は扉を開いた。
「……あら、着替え終わったのね」
聞こえてきたのは、いつもと同じ自信に満ち溢れた声。
視界に入ってきたのは、いつも以上に綺麗になった……僕の最愛の女性。
純白のウェディングドレスに金色の髪がとてもよく栄えていた。
「どう? 感想が聞きたいわね」
彼女はクスッと笑いながら問いかけてきた。
僕も笑いながら、それに返す。
「うん……すごく綺麗だよ、玖遠」
母さん、今日この日、この青空の下。
僕は、彼女と結婚します。
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