‡1.始まりの悲劇‡

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 それを失った時、 「この世に信じるものなど最初からなかったのだ。神などと言うものも、哀れな子羊を救えなければ、無意味だよ。そうだろう?」  そう言って生気もなく笑ったオリフラム。  一瞬で何もかもを諦めたように、悲しげに、そして絶望に満たされて。  花の柩に横たわる女性、テレシア。  誰もが心から敬愛し、みんなに愛された女性。  花さえも霞むほどの美貌に、慈悲深い誰よりも美しい心。  それが握り潰された現実。  オリフラムは安らかに眠るその頬を優しく撫でるばかり。  その傍らに立つ二人の子供たち。  テレシアの写し身のようなイシュタルは悲しく綺麗な涙を流し、弟のシーヴァスは無表情に佇んでいた。  幸せは儚くも無残に壊れてしまったのだ。
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