プロローグ~天と地~

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かつて、世界は一つだった。 天と、地。 住む場所は違えど、人々は協力しあい、互いを支え、生きてきた。 世界には不思議な力が存在し、それを人々は「魔術」と呼んだ。 天も地も、互いに均衡を保ち、争いなどなく平和に暮らしていた。 …それがあるとき、一変する。 天が所持していた、唯一無二の宝物を、地が奪った。 魔術の源… 「月読(ツクヨミ)」と呼ばれる存在を、地が奪った。 魔術を地だけのものにするため。 己の欲のために、地は天に争いを仕掛けた。 天の民は悲願した。 やめてくれと願った。 しかし地は止まらない。 ツクヨミを奪い、嘲笑を残し、地に戻った。 天は怒り狂った。 ツクヨミを取り返すため、地に宣戦布告した。 それに地も答えた。 そして―― 両国は2つに分かれたのである。 あれから、数百年。 未だ両国は敵対しており、長い長い戦争が繰り広げられている。 ツクヨミを失い、均衡が崩れた世界では、天と地とで別の魔術と姿を変えた。 力の歪みが、魔獣と呼ばれる、邪悪な獣を生み出した。 そして現在。 天も地も。 行方不明になってしまったツクヨミを必死に探している。 先に手に入れたほうが、勝者。 それが… 彼らが生きる、この世界の歴史である。
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