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1 殺戮者
「うっ…、うぅっ」
紅い日差しが冷たいコンクリートの部屋を照らす
次々に落ちていく甘酸っぱい雫
「痛い…っ、痛いよぉ」
体を小さな腕で目一杯抱きしめる
それでも痛みは引かないのか
どんどんと力が入っていく両腕
コツッ… コツッ…
何かが堅いコンクリートに打ち付ける音が聞こえてくる
目の前に気配を感じ、バッと頭を上げる
全身を真っ黒に覆った人影がいた
「ほら……………」
そう言って手渡して来たもの
―――細長い日本刀らしきもの
「行っておいで………」
遠ざかって行く声と共に開く重い扉
刀を握り、躊躇う事なく
視界一杯に広がった紅い光に歩みを進めていく
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