伊東甲子太郎

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やはり顔ではなく性格だろう。人を引き付けるのは顔ではない。確かに顔で引き付けることはあってもその後、性格の良し悪しでその人が見えてくるものだと思った。 日向はため息をつきながらも掃除を続けていた。掃除もあらかた終わり片付けようと廊下を歩いて行くと原田と永倉が縁側に腰かけていた。 「原田さん、永倉さん、どうしたんですか?」 不思議に思い声を掛けると二人ともつまらなそうなかおをしていた。 「藤堂さんがいないことがそんなにつまらなんですか?」 「あいつがいねぇとこいつの言葉につっこむやつがいねぇ」 そう言ってため息をつく永倉。当の原田もため息をつく。 日向は呆れながらも二人の背中を思いっきり叩いた。 「「いっ!てぇ!!」」 「しゃきっとなさい!そんなことくらいで!」 「日向…だってよぉ」 「しゃきっとする!一緒にいないだけでしょ?」 そう言って笑う日向に永倉は納得したように短く息を吐くとそうだなっと言いながら原田を連れて道場へ向かって行った。
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