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「どうしたんですか?」
日向は珍しく怒りが収まらない山南に驚きつつも小声で近藤に聞く。すると近藤は困ったように苦笑いをするだけだった。
元治二年、年が明けてすぐ毎日こうして近藤の部屋で話合いが行われていた。
近藤の部屋を出てからいつものように仕事に戻る日向。夕餉も山南は部屋に閉じこもり、一人部屋で食べていた。食事が終わり、お膳を下げに行く途中、ふと思い出した。
そうだ、西本願寺への移転だ。ん?ってことは…。
脳裏に浮かぶ。山南の顔。しかし、池田屋の時みたいに歴史が変わっているかもしれない。そうなれば山南は…。そんな淡い期待を抱きながらもお膳を下げるとお茶を持って再び山南の部屋を訪れた。
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