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「それからもうひとつ、」
山南は固く握った拳を膝の上に押さえつけるようにしていた。その手は微かに震えていた。
「土方さんは。あなたが好きなんですよ。ここにいてほしいと誰よりも思ってる。」
「まさかっ…そんなことないでしょう」
「本当の話ですよ。あの人は色々手を回してきましたが、あなたの頭脳にはかなわないと…以前話していましたしね。」
日向が思い出したように笑うと山南は唖然としていた。
「私はてっきり…」
「人の心は伝わりにくいものです。しかも鬼と仏、別れて呼ばれている副長どうしならなおさら。だったら誰か橋渡しをしなくちゃならないでしょう?あなたの悩みが…少しでも軽減されるのなら喜んでその橋になります」
そういってにっこりと笑った。
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