別れ

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珍しく山南の部屋前を通った土方の声に我に返る。ゆっくりと振り返り土方を視界にとらえると震える手で紙を手渡した。紙を見た瞬間、土方は眉間にしわを寄せ足早に去って行ってしまった。おそらく近藤に伝えるのであろう。それを止めたかった。しかし、想いとは裏腹に体は一歩も動いてくれなかった。 どうして…。山南さん。 あんなに笑ってくれていたじゃないですか? 懐かしそうに話をしてくれたり、明里の話を赤い顔して話してくれたり。 月が変わり山南脱走の歴史は変わってくれたと思っていた。三月に入り少し暖かくなり始めていた。それなのに…。何故… その日のうちに沖田が山南捜索に出かけて行った。
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