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「日向ー!お願い!!」
目の前に両手を合わせて懇願中の彼女。
飯塚 涼子。いわゆる幼馴染というやつで。
「だからぁ…嫌だってば。そんなのめんどくさい。」
「一度でいいから。お願い!この間言ってたのおごるからさぁ」
ほぼ涙目でお願いしてくる涼子にさすがに断れなくなってきていた。
司馬 日向。この4月から大学に入学した女子大生。文系で暇があれば図書館へ出入りしている本が大好きなごく普通の女の子。人並みに恋をしてきたが高校2年の頃の彼にひどい仕打ちを受けてからはめっきり男性不審。そんな日向を何とかしてあげたいと今回涼子が合コンをセッティングしたのだが本人は全くの拒否。それでも諦めず交渉した涼子にさすがの日向もギブアップ寸前だった。
「…分かった!分かったわよ!行けば良いんでしょ。行けば!」
さすがに数日何度も同じ話をされ疲れ始めていた日向はほぼ諦めていた。
「やった。絶対だよ。じゃぁ、後で。6時に駅前ね。」
「はいはい」
嬉しそうに笑うと鞄を持って走り去って行った。
「はぁ。行けばいいんでしょ。行くだけだから…」
ぽつりと誰もいない教室で呟くと鞄を持って教室を後にした。
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