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居酒屋の前に着くと他の女性陣もそろっている。全部で女性5名だそうだ。涼子が彼女らと話してると数人の男性が歩いてきた。
「将ちゃん」
涼子が笑って声をかけると片手をあげてにっこり笑う彼。
背は高く短い髪は茶色。いまどきの男性って感じに笑顔を振りまいている。
涼子が話してるのを羨ましそうにみている他のメンバーに対し、日向の頭はどう切り抜けて帰ろうか考えていた。
「おい。」
その声に顔をあげると将ちゃんと呼ばれた彼の隣にいた男性が目の前にいた。
急に呼ばれたことに驚いていると彼はにこりともせず日向を見下ろしていた。
「なんですか?」
不思議に思い顔をあげてこたえると彼はいきなり日向の左手を掴んでくる。
「なっ!」
「なんだ。まだ行ってないのか…。」
「行くって…?」
不思議そうに尋ねると眉間にしわを寄せて彼はじっと左手を見ていた。
「お前、いくつだ?」
尚も顔をあげず左手を見たまま聞く彼に思わず素直に答えてしまう。
「19」
「そうか…。まだ…か」
一瞬切なそうな顔をした彼に思わず見入ってしまう。
「日向ー」
涼子が少し離れた場所から呼ぶ。それにこたえようとすると彼は腕を離さないまま涼子と隣にいる将ちゃんという彼に向き合う。
「俺、抜けるわ。じゃぁな」
そういって日向の手を掴んだまま歩き出す。
「え?え?」
手を引かれるままわけわからないという顔してる日向に涼子はにっこり笑って手を振った。
「じゃーねー」
「え?ちょっ…何?」
黙ったまま手を引いて歩く彼に驚きながらも薄情な行動の涼子に怒りさえ覚える。
「ちょっと!離して!」
それでも無言で歩く彼にちょっとした怒りを覚えながらも離されない手を見つめたまま引かれて歩く。
ついたところは大きな図書館。見上げているとそのまま手を引かれ歩く。
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