魔法

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よくよく考えれば、この老人は、いつも魔物の接近などのかなり重大な問題をニッコリ笑顔で伝えてくる。 「なに、そう驚くことはなかろうて。いつもの事ではないか」 「いえ、いつもは先生方で処理していらっしゃるとお聞きしましたから……」 ようやく少し頭が回るようになった聖斗は、丁寧な口調を崩さず、遠まわしにこの問題をここに回した真意を尋ねた。 「今回はちと多くてのぅ。人手がたらんのじゃよ。そういう訳で、生徒会は全員出動じゃ。ほらほら若人よ。はよ行かんか」 ぐいっと、義人が聖斗の腕を引っ張る。 一体この老人のどこにこんな力があるのか。そう問いただしたくなるほどの握力だった。 聖斗は痛いという言葉を全力で噛み殺した。
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