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「どうするの、この子?家に置くなんて、考えただけでも恐ろしいわ」
どうやら、話題になっているのは、二人の赤子のうち、一人だけのようだ。
男が、赤子を抱きかかえる。
「捨ててしまおう。誰かに気づかれる前に。」
ダンボールを足で引っ掛け、自分に寄せる。
「それがいいわ。こんな子供の顔なんて、見たくもない。死んでしまえばいいのよ。」
男はそれに頷き、ドサっとダンボールに赤子を落とした。
女がなにやら呟くと、ダンボールの口がひとりでに閉まり、開けられなくなってしまった。
男はそれを抱えると、漆黒の闇に包まれた外に出て行き、谷へとダンボールを落とした。
男が家に戻ると、もう一人の赤子は泣いていた。まるで、今起こった出来事を見ていて、それを悲しむかのように。
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