五章

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「おっと、少し話しが逸れたな……確かに5対5だとメンバー以外の他の生徒の実力は見れないな。 だがそこは別に気にしなくていいんだ。 メンバーを選出する際は、そのクラス内での評価が平均的な奴だと決められていてな。 そいつらを見れば大体の実力は判るって訳」 ふぅ、こんな長い説明久々したな……と言ってアルスは一息つく。 「なら極端に低い奴が居たらどうするんだ?」 「あ?……ああ、そういう奴らは長期休暇の約9割を補習に当てられる事になってる」 もう質問は無いかぁ?とアルスが聞くと、終夜は縦に首を振った。 「んじゃ、改めてメンバーを言うぞー。 一人目、獅藤慎治」 「え~めんどくさい」 慎治が机に突っ伏しながらそう言った直後、彼目掛けてアルスの手からボールペンが放たれた。 「痛っ!?」 ボールペンは空を裂き、見事に慎治の眉間に命中する。 「~っ!!」 余程当たり所が悪かったのか、慎治は命中した個所を押さえて悶絶する。 「次に何か言った奴は二発行くからな~。じゃあ次のメンバーの発表だ。 二人目、皇杞紫遠」 アルスが紫遠に視線を向けると、紫遠は無言で頷いた。 「うんうん、物分かりの良い奴は得するな。じゃあ次だ! 三人目、大神陸人」 「よっしゃ!」 アルスの言葉を聞き、右目に黒い眼帯を付けている男子生徒がガッツポーズを取った。 「おっ!やる気があるな……じゃあ次いくぞ。 四人目、鈴野かなで」 「あ、あたしか!?」 桃色の髪をした一人の女子が、驚きの声をあげる。 「なんだ鈴野、お前もコレを所望か?」 アルスはボールペンを二つ、顔の前にちらつかせる。 「是非やらせて下さい」 「よ~し、じゃあ最後のメンバーの発表だ。 五人目、萩原魅琴」 「……」 魅琴は自分の名を呼ばれたが反応せず、俯き黙り込んでいる。 「ん?萩原ー聞こえてるか?お前が最後のメンバーだぞ」 「魅琴……呼ばれてる」 「……え?あっはい!」 後ろの席にいる紫遠の声で、ようやく魅琴は反応した。 「大丈夫かお前……どこか体調でも悪いのか?」 「い、いえ!大丈夫です…」 魅琴は首を横に振り、否定の意を示す。 「なら今言った五人が代表だ!お前ら気合い入れていけよ!じゃあ今から時間まで、自由にしてて良いぞ!」  
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