二章

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  「……。ここが俺の通う学園か」 (通う予定、ですけどね) 現在、終夜の眼前には馬鹿でかい、とまではいかないまでも、普通の学園と呼ばれるものよりは大きい建物がそびえ立っている。 (確か名前は……) 「シルフォード学園だ」 終夜は氷劉の疑問に答えると、正面にある門をくぐり、学園の敷地へと足を踏み込んだ。 すると辺りに機械音が鳴り、終夜を取り囲む様に地面から鎗が突き出てきた。 「……ん?」 突き出てきた鎗を見て、終夜は小さく声を洩らす。 「……取り敢えず、通行の邪魔になるな」 (マスター、何が取り敢えずなのか判らないのですが……) 「……。通行の邪魔になるな」 (スルー!? マスターが私のことをスルーした!?) 氷劉はおいておくとして……。まずはこの鎗か。 「……。『ボックス』」 終夜がそう唱えると、横の空間に亀裂が入る。そしとその中に終夜は腕を入れた。 ごそごそと何かを漁る終夜。すると彼は亀裂の中から一振りの鉄刀を取り出した。 刀の刀身が全て出た後、亀裂は音も無く、自然に塞がっていった。 「……人の通行を邪魔するとはな」 終夜はそう言って、手に持つ刀を横に一閃した。 すると同じ鉄で出来ている鎗が、いとも簡単に切れ、地面を無惨にも転がった。 「さて……。行くか」  
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