二章

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「…ん?この扉…」 (どうしました?マスター) 「…氷劉、周りを見てみろ」 (…マスター、私はマスターの視点からしか見れないのですが…) おっと、そうだったな…。 「『心解』」 終夜が唱えると、いつもの様に光の玉が現れ白い蛇になった。 「氷劉、床を見てみろ」 「床ですか?……別に変な所はありませんよ?何か罠があるようにも見えませんし…」 氷劉はグルグルと宙を回りながら床に視線を向ける。 「…この扉の周りだけ矢が落ちてない」 「あっ…言われてみればそうですね」 終夜の言った通り、学園長室と書かれた扉の周りだけ矢が落ちていない。 「…それにマスター、良く見たらこの矢、先が丸くなってますよ」 「それは始めから知ってた」 終夜は扉に手を掲げながら素っ気なく答えた。 「…なら何故あんなに焦ってたんですか?」 「なぁに、ああした方があちらさんが喜ぶと思ったからさ」 「…あちらさん?それは誰の事ですか?それにマスター、一体何をしているんですか?」 氷劉は扉に手を掲げる終夜を見て首を傾ける。 「…質問が多いな…まずあちらさんと言うのは誰かは俺も知らん。唯一判るのは、コソコソ人を覗くのが趣味な奴だという事だけだ」 終夜はそう言うと、手に持っていた刀を壁に突き刺した。 すると刀が刺さった瞬間、鏡が割れた様な音が廊下に響いた。 「…今のは…」 「恐らく光属性の初級魔法、『視鏡』だろう。鏡に映るものをもう一つの鏡に映し出す監視用の魔法だ」  
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