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「…ん?この扉…」
(どうしました?マスター)
「…氷劉、周りを見てみろ」
(…マスター、私はマスターの視点からしか見れないのですが…)
おっと、そうだったな…。
「『心解』」
終夜が唱えると、いつもの様に光の玉が現れ白い蛇になった。
「氷劉、床を見てみろ」
「床ですか?……別に変な所はありませんよ?何か罠があるようにも見えませんし…」
氷劉はグルグルと宙を回りながら床に視線を向ける。
「…この扉の周りだけ矢が落ちてない」
「あっ…言われてみればそうですね」
終夜の言った通り、学園長室と書かれた扉の周りだけ矢が落ちていない。
「…それにマスター、良く見たらこの矢、先が丸くなってますよ」
「それは始めから知ってた」
終夜は扉に手を掲げながら素っ気なく答えた。
「…なら何故あんなに焦ってたんですか?」
「なぁに、ああした方があちらさんが喜ぶと思ったからさ」
「…あちらさん?それは誰の事ですか?それにマスター、一体何をしているんですか?」
氷劉は扉に手を掲げる終夜を見て首を傾ける。
「…質問が多いな…まずあちらさんと言うのは誰かは俺も知らん。唯一判るのは、コソコソ人を覗くのが趣味な奴だという事だけだ」
終夜はそう言うと、手に持っていた刀を壁に突き刺した。
すると刀が刺さった瞬間、鏡が割れた様な音が廊下に響いた。
「…今のは…」
「恐らく光属性の初級魔法、『視鏡』だろう。鏡に映るものをもう一つの鏡に映し出す監視用の魔法だ」
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