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とある世界、ヴァルディア。
人間と魔物が争い、人間と人間が殺し合う世界。
そんな世界の、とある暗く深い森に、銀髪の青年がいた。
♪♪~~♪~
青年は、この深い森の中でも一際目立つ大木に背を預け、硝子のように透き通ったオカリナを吹いている。
~♪~♪♪~~
両目を閉じながら、静かにオカリナの音色を奏でる青年。
その音色はとても澄んでおり、まるで森全体に浸透していく様な感覚に陥る。
すると、その音色に釣られてかは判らないが、大木の周りの茂みから、狼や狐、鳥などの野生の動物たちが姿を現した。
動物たちはオカリナを吹く青年に、怯えることなく静かに歩み寄っていく。
♪♪~♪~♪
しかし青年は動物たちのことなど一切気にせず、一心にオカリナを吹く。
暫くすると、大木の周りには数多くの野生の動物たちで埋めつくされていた。
動物たちは各々リラックスした体勢で、青年の吹くオカリナの音色に聴き入る。
~♪♪♪~。
「…………」
オカリナを吹くのを止め、一度息を吐いた後、青年は静かに目を開いた。
右目が綺麗に澄んだ赤、左目が深い海の様な青のオッドアイ。
「……。どうだった?」
銀髪を風にたなびかせながら、自分の近くに座っていた狐に声を掛ける。
狐は彼の言葉を理解したのかは定かではないが、彼に見えるよう、尻尾を何回か横に振ってみせる。
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