十一章

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「……で、お前ら。何か言い訳はあるか? あるなら惜しみ無く、もうこれ以上あるかってくらい喋れよ」 シルフォード学園、学園長室。 その部屋には現在、学園長である神藤、教師であるアルス。 その二人の前には、一応は生徒である黒羽絢と黒羽秋巴、そして白銀終夜が、綺麗に横一列に並んで立っている。 神藤は笑顔。この上ないくらいの笑顔。 アルスは苛立っているのか、貧乏揺すりが激しい。 ボサボサの寝起きの髪の毛を弄っている絢。寝惚け眼をなんとか開きながら、時折頭がかくんと落ちる。 そんな絢とは違い、彼女の左隣に立つ秋巴は普段通りの状態だ。 そしてその左隣に立つ終夜。若干後頭部に寝癖はあるが、絢ほど眠たそうでもないようだ。 「やや……、アルス先生、御立腹ですねー。そんなに怒るとまた血圧上がりますよー」 「血圧が上がる主な原因はお前だ。この問題児」 「たはー。それは、すみませ、んねー…………はい」 「絢さん。今寝るのは常識的に考えてまずいですよ。というか立ちながら寝ないで下さい。どんだけ器用なんですか」 「いえ、コツさえ掴めば……………………やれる」 今まで以上に盛大に頭を落とすと、彼女から小さな寝息が聞こえてきた。 「……。すいません、学園長、先生。絢さん、こうなったら最低でも半日は起きません」 「……ったく、この問題児は。学園長、どうしますか」 「まあ、このような朝早くに呼び出した、僕やアルスにも非がありますし……寝かせてあげましょう。 彼女には何かと“世話”になっていますから」 立ったまま寝息をたてている絢を見、次に秋巴、終夜と視線を移すと、神藤は微笑みを浮かべる。  
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