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あるところに、二人の双子の少女がいました。
妹は姉が大好きでした。
姉は妹が大嫌いでした。
妹は姉に、笑って欲しいと望みました。
姉は妹に、泣いて欲しいと望みました。
妹は姉に生きて欲しいと願います。
姉は妹に死にたいと願います。
妹は、姉を生かすために人を殺しました。
姉はただ、それを見ているだけでした。毎日毎日、見ているだけでした。
そしてある時、姉はふと思いました。
《人を殺すと、自分は死ねるんだろうか》
姉は自分が死ぬために、人を殺しました。
妹は、それをただ見ているだけでした。毎日毎日、見ているだけでした。
双子は毎日、人を殺しました。双子は毎日、人を死なせました。
いつしか姉は、人を殺しても自分は死なないことに気づきます。
いつしか妹は、人を殺さなくても姉は死なないことに気づきます。
けれど──それに気づくのは、遅すぎた。あまりにも、遅すぎた。
姉は狂いきっていた。
妹は壊れきっていた。
罪深き双子の少女は、どちらも終わっていた。その時は、どちらも確かに──終わっていた。
その終わっていた双子の前に、ある一人の青年が現れました。
姉妹は青年を殺そうとしました。当たり前のように、殺そうとしました。
しかし──青年は、死にませんでした。青年は、死ねませんでした。
姉妹は青年に問いました。
《貴方はなぜ死なないの?》
《貴方はなぜ死ねないの?》
青年は答えました。
《多分、死にたくないからだ》
続けざまに、青年は姉妹に問いました。
まず、初めに姉に問う。
《なぜお前は、死にたいんだ》
次は、妹に。
《なぜお前は、生きるんだ》
その問いに、姉妹は何故か“涙を流して”答えました。
二人同時に、姉妹一緒に、答えました。
《私は妹が、大好きだから》
《私は姉が、大好きだから》
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