四章

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「ふぅ、ご馳走さん」 暁が箸を置き、手を合わせて言った。 「……ご馳走様」 終夜も暁に続くように、きちんと手を合わせて言う。 「さ~て!飯も食った事だし、そろそろ話し合いといこうじゃないか」 暁はカツ丼の入っていた器を横にずらし、テーブルに身を乗り出す。 「話し合う事など無いのだが……それに話し合う約束もしていない」 終夜は身体を後ろにのけ反らせて暁から離れる。 「私だって始めは話し合うつもりは無かったさ。ただカツ丼食ってたらお前に聞きたい事が出来ちまってな」 何故カツ丼を食べたらそうなった?と終夜は疑問に思ったが、話しが拗れると察したので聞くのを辞めた。 「昨日のあんたの使った魔法、あれは一体何だ?」 暁が真面目な顔で終夜に問う。 「私はこれでも、魔帝なんつー大層な名が付いてるんでな。ほぼ全ての魔法は頭に叩き込んであるんだ……だが昨日のあんたの魔法は、私の知識には無かった」 終夜は暁の言葉を黙って聞く。 「気になったから、私は昨日の内に魔法書を漁りまくったさ。だがどこにも氷の魔法なんて記されていなかった。 ……なあ白銀、あんたの魔法は一体何なんだ?」 暁はそこで言葉を区切り終夜の返答を待つが、終夜は黙り込んだまま暁を見据えるだけである。 「……だんまりか。まあ別にそれでも良いさ。私も無理に聞き出すつもりは毛頭ないからね……じゃあ私は戻るとするかね」 暁は笑みを浮かべてそう言うと、勢いよく椅子から立ち上がった。 「あっそうそう、明日の対抗戦、もし暇だったら見に行ってやるよ!そん時は感謝しろよ!」 じゃあな~、と言い残し、暁は食堂から去っていった。 「……対抗戦って……何だ?」 残された終夜は、暁の言葉を聞き頭にハテナを浮かべる。 …まあいいか、明日になったら判るだろうし。 そう結論づけると、暁の食べたカツ丼の器と、自分が食べたカレーの器をカウンターに返し、終夜は食堂から立ち去っていった。  
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