三章

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「なっおい、ちょっ落ち着け」 終夜は自分を囲み、次々と質問をしてくる生徒たちに言うが、生徒はそんなのお構い無しに終夜に話し掛ける。 ……コイツら五月蝿い。全員永久に凍らせようかな…。 終夜が内心恐ろしい事を考えていると、生徒の群れの中から腕が一本現れ終夜を掴んだ。 「こっちだ!!」 掴んだ主は終夜を無理矢理引っ張り、生徒の群れから助け出した。 そして終夜を連れて教室を飛び出す。 「あっ編入生が逃げたぞ!」 「追え~!!」 一部の生徒は終夜を追うように教室を飛び出す。 「おいっ、何処に行く気だ?」 「いいから黙ってついて来い!」 終夜の問いを一蹴し、助け出した生徒は終夜の腕を掴みながら廊下を走る。 そして階段を駆け上がり、鉄製の扉を開け二人は向こう側に駆け込んだ。 「…ふぅ、此処までくれば大丈夫だろ」 生徒は誰も来ないのを確認しな後、扉を閉め疲れた様に床に座り込んだ。 「此処は…屋上か」 終夜は辺りを見渡して小さい声で呟く。 「ああ、屋上は余り人が来ないんだ…だから隠れるには最適な場所だ」 生徒は仰向けに大の字に寝転ぶ。 「普通なら屋上は人気があるんじゃないのか?」 「だって此処、立入禁止だし」 「…成る程な」 終夜は飛び降り防止の柵に寄り掛かり、そこから外の景色を眺める。 「あっまだ自己紹介してなかったよな」 生徒は思い出した様にそう言うと、勢い良く立ち上がり終夜に近付く。 「俺の名前は慎治、獅藤 慎治(シドウ シンジ)だ。よろしくな」  
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