画面越しのキミ

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「久しぶりやなぁ」 「ひさしぶり」 王子の声が少し上擦った感じがした。 王子っつうんは、俺がギターしてるバンドのボーカルさん。 あのグループのUさん、アイドルやのにバンドしたりしてる。 「まさみん、早く入って」 「おぅ」 今日は、東京まで王子に会いに来た。 なんてったって足ケガした言うたから気になって、心配やったし、会いたかったし。 「普通に歩いてるやん」 「へっ?あぁ、もう大丈夫だよ」 大丈夫とか言いながら、左足庇って立ってるのバレバレやねんけど? うちの王子は強がりやからなぁ… ドサッと王子が座った横に俺も座った、その反動で軋むソファー。 「まさみん、」 「ん?」 「まっさみん」 俺の肩にこてんと頭を預ける王子。 もうすぐ27のはずなのに、まだまだ俺には若く見える。 俺がおっさんなだけ…? いやいや、俺もまだ若いし…多分。 .
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