命の風

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耐えきれずに寝室のドアを勢い良く開けて中に入った。 「上田!」 「こ、き…」 パッと上田の手がお腹から離れた。 「どしたの?そんな慌てて…」 「上田、さっきの…俺とお前の赤ちゃんって…」 「き、いてたの?」 聞くつもりはなかったけど、聞いてしまったものは仕方ない。 それに、大事な話じゃねーか。 「俺、こーきがダメって言っても産むから!」 お腹に右手を当てて大事そうに守る上田。 いろいろ疑問はたくさんある… 男なのに妊娠とか、何カ月なのかとか けど、その前に… 「上田、」 「…こーき」 ベッドに上がって、上田の左手を握った。 細い薬指には、俺とお揃いのシルバーリングが光ってる。 「頼む、産んでくれ、そんで…2人で育てよう。」 「こ、き…」 ぽろぽろと上田の目から溢れる涙。 「これからは、3人で暮らそうな」 「ん…」 「あ、籍入れてねー」 「日本じゃ結婚出来ないよ」 「ジャニーさんの力でなんとかなんねーかな?」 「ならないでしょ」 20100911
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