バニラ

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この前買ったバニラの香りのボディソープ。 今日気分で使ってみたら、あまりにも良い匂いでくらくらした。 ハマりそうだ。 つまらないバラエティー番組が流れるテレビ。 俺は恋人の帰りを待っていた。 今日は別々の仕事。 あいつはソロで活動してて忙しそうだし、バニラの香りで癒されてくれたらいいな。 「ただいまー」 バンッと勢い良くリビングのドアが開いた。 そこには、肌が露出してるカットソーにカーディガン、細身のジーンズの恋人が立っていた。 当たり前だけど、朝と服装は同じ。 「おかえり」 「あれ?もうお風呂入ったの?」 「あー、うん」 俺はパジャマなわけで、まだ時間早いから珍しく思ったのかな? あ、もしかして… 「一緒に入りたかった?」 「はあぁ!?」 ソファーに座ってる俺の近くに立ってるそいつの腕を引っ張った。 俺の前で跪いてるそいつを抱きしめる。 …たっちゃんの匂いだ。 「なかまう…」 舌っ足らずの呼び方もかわいい。 何回呼ばれてもかわいい。 「なに?」 「お前さ…どっか行ってたの?」 「え?別にどこも行ってないけど…」 普通に仕事行って帰って来ただけなんだけど… たっちゃんは俯いたまま顔を上げずに俺の腕の中から離れた。 .
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