始まり

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「うわぁぁ」 声が裏返った。足が地面から30cmほど浮いている。それも動かせば動かすほど上昇しているようだ。 晴久は一旦止まろうとしたが、彼の意志とは反対に、足は動き続け、身体は住宅街を駆けながら浮上する。 「止まれっ、止まれよ」 握り拳をつくり、膝を殴りつけた。鈍い痛みに呻き声が漏れる。殴りつけた勢いでバランスが崩れ身体が前のめりになった。 このままいけば、顔面から1・2メートル先の地面へダイブすることになる。 晴久は思わず目をつぶった。
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