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「なぁ、アンタもしかして『奇剣の邪狗(ジャク)』じゃないか?」
オレは今ギルドの酒場にいる。
この前の盗賊退治の仕事は、結局盗賊が現れずに散々だったが、その次の町で受けた仕事のおかげで懐がとてもあたたかい。
つまり、このお酒は頑張った自分へのちょっとしたご褒美だな。
「……そうだが。何か用か?」
奇剣の邪狗っていうのは、奇妙な形の剣を持ってる邪悪な狗(いぬ)という意味らしい……誰がつけたか知らんが、見つけたらアキレス腱を切断してやろうと思う。
どうも、刀というのは珍しいらしい、確かに、素人のオレから見ても刀を作る工程というのはめんどくさいし、何より作れる職人がもういないらしい。
剣が大量生産の使い捨てだとすると刀は完全オーダーメイドの芸術品だな……と勝手に思った。
「あぁ、そうなんだ…いきなりで悪いんだがな、もし、よかったら……俺と組んでくれないか?」
「はぁ?」
話しが刀のことにずれたが、とにかくそんなイジメみたいな通り名をつけられるオレに話しかけて来るヤツなど今までいなかった。
しかも、『組んでくれ』とは……物好きなヤツもいたものだ。
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