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あの事件から2か月が経ち、お兄ちゃんも奈々君も退院した。
巧side
俺の左目は失明した。だけど、その分奈々が僕の目になるかのように支えてくれた。
ある日のことだった。
「ゴホッゴホッ…移動だから行こう。」
少し咳き込んでいた奈々の背中を擦った。階段を上がっているとき、突然奈々が立ち止った。
どうしたのかと思ったとき、いきなり奈々が崩れ落ちた。片目しか見えないが、その様子を見て俺は抱きとめた。
「奈々!!」
俺は奈々を階段の踊り場に降ろした。息が荒く、左胸辺りを押さえていた。
「拓海!!奈々、大丈夫か…?」
そこにクラスメイトの祐樹が来た。
「保健室に連れて行ってくれないか?多分、心臓の発作だと思うから…。」
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