ハジマリ

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俺、池上滅は明日から高校3年生のごく普通の男子だ。 滅って名前は親父がつけた あまりにいい意味に取られないこの漢字をわざわざ使ったのには、何か理由でもあるのか、気になっていてもたってもいられず、親父に聞いたことがある。 その時、親父は 「己の邪魔をするもの、全てを滅ぼせるような男になって欲しかったのさ、で、滅ぼすからとって滅」 ……何て40代を思わせない無邪気な笑顔でいいやがった。 お陰様でこちらは中二病って言われて苦労してるってのに…… それに加え、俺が得意とするのは守りや回復に長けた光属性の魔法で、名前とのギャップが激しい。 何がって言われたらそうでもないが、 なにか恥ずかしくて中学の時は、よく闇属性の魔法の練習をしたものだった。 そんな俺の朝は優雅にアールグレイティーを飲むことから始まる。 ……何てことはなく、お袋が入れるココアではじまる。 今日も目が覚めてすぐにココアを飲みに階段をゆっくりとした足取りで降りる。
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