『少女』

3/4
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
いていけないから問題はないんだけど、孫である私にもたまにはとばっちりが来る時もある。難しい、酷い言葉で散々罵られたりした。  …お祭り、行きたかった。  何で楽しみにしていたお祭りに行けなくて、仕方無く此処にいるのに文句を言われているんだろう。  私を見下ろして、イサンとかソーゾクが何とかって訳の分からない事を言っている見知らぬ親戚。 『…行きたかったのに』  お祭り。今頃多恵ちゃんは家族で楽しんでいるのかな。金魚すくいも、わたあめも、射的も。…テレビで人気のキャラクターを象ったお面も。打ち上げ花火だって見たかった。 『我慢して…此処にいるのに』  私の頭の中で声が響く。何も言えない私の代わりに、私が思っている事を言ってくれている。  かた、かたかたかた…。  突然、お爺ちゃんの寝ている後ろに飾ってある天狗のお面が揺れ始めた。  もしかして…私の代わりに…。  かたーん!  ザワッと、周りがどよめいた。天狗のお面は、地震が来ても落ちる事が無い様にって柱に打ち付けておいた物だから。  私の足元に落ちたお面を拾い上げた時、私の人生が変わった…。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!