『少女』

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 ―――…あのお祭りの日から、お婆ちゃんは床に臥せってしまった。お父さんは毎日溜め息ばかり吐いて何かを考えてボーッとしているし、お母さんは毎日部屋で泣いている。…私が、お爺ちゃんのお面と喋ってしまったから。お面の声が聞こえてしまったから。  何日か経って、私はお婆ちゃんの部屋に呼ばれた。お婆ちゃんはまだ体の具合いが良くないらしくて、布団に入ったままだったけれど、これからの私に必要な事だからって話してくれた。  お爺ちゃんは、あの天狗のお面を護っていた。お婆ちゃんは護り人だって言った。家の中で、代々途切れる事なくあのお面を護っていたらしい。なんでも、昔村人達に誤解されて迫害を受けて悲しい最期を遂げた天狗様の心があのお面に宿っているとかで、決まった時間にお供え物を捧げて御祈りをするのが習わしなんだって。  前の護り人が何かの都合でいなくなると、次の護り人に自然に引き継がれるみたい。選び方は簡単で、お面の声が聞こえた人がいたら、その人に引き継ぐとか…。  ただ、問題なのはお供え物をどうやって調達して来るかって事。このお面は、ちょっと変わった物が好きみたい―――…。
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