『仮面の女』

2/2
前へ
/6ページ
次へ
 気付けば、辺り一面の闇。黒い。果てしなく黒。ずっと一点を凝視していると思わず吸い込まれそうになる…そんな闇。視線をずらせば先程までの空間の闇がうねり、幾重にも絡み、奇妙な生物と化している。 「見なきゃよかった…」  若干、暗闇の中で動きが分かる事自体が気持ち悪いと言うのに、自らの好奇心と怖いもの見たさが仇なす形となってしまった。  余りの吐き気に左手で口を覆う。足元もあるか無いか分からない不安定な歪んだ空間の中で、それでも前進を続けた。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加