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僕のお母さんはある日突然消えた。父に問い詰めても何も話してはくれない。
だから、僕は自分で探そうと心に決めた。
お母さんが居なくなってから3年。僕は高校2年になった。
一切手掛かりはない。
そんなある日僕は父さんの経営してる会社に行かなければならなくなった。
「はぁ、父さんどこだろ」
とぼとぼ歩いていたが、疲れて椅子に座ろうと思った。
しかしそこで見たことのない通路を見つけた。
「あんなとこあったっけ?」
不思議に思いつつも、好奇心のまま歩いていった。
暫く行くと突き当たりに至った。
「なんだこれ。変なの」
不満に思ってぺしぺしと壁を叩くと、ふわんと壁が消え、勢いのまま落下してしまった。
「ん~、ここどこだろ」
落下した割には僕は怪我もなかった。不思議に思ったけど、それよりもこの状況のほうが不思議だった。
周りは鉄でしっかりした造り。しかもパイプや橋等が渡ってる。
「すっげ~。まるで研究所みたいだぁ。」
感心しているとわきゃわきゃと話し声がした。
「なんだろ」
声のするほうに行くと、ドアがあった。
好奇心に勝てず、開けてみるとそこには・・・。
「ねぇねぉご飯食べよぉ」「はいはい。ちょっと待ってなさい」
「全く、食いしん坊だなぁ」
・・・何故か三匹の動物の家族が笑っている。
何故だ・・・・・・。
呆然としてるとお母さんらしき人が気気付いて手招きした。
「あなた和君でしょ?知ってますよ。
私達これからご飯ですの。一緒にどうぞ」
「はぁ・・・」
何故僕の名前を知ってるんだろう、と思いつつも、三匹に促されるまま席に着いた。
暫くすると、お母さんが出てきた。
「今日はシチューですよぉ」
皆の分を注ぎながら言う。
そして皆でいただきますを言って和やかに食べる。
そう言えば小さい頃はうちもこんなんだったなぁ・・・。
「まぁ!どうしましたの?お口に合いませんでした?」
「いいえ。とても美味しいです」
思わずでた涙を拭いつつ笑顔で答える。
あまりここに居ちゃダメだな。
「ごめんなさい、僕もう行かなくちゃ
ありがとうごめんなさい」「あらあら、もう行っちゃうの?残念だわ。
それじゃあこれを持ってお行きなさい」
包んでくれたパンと果物を持って僕は部屋を出た。
本当はたくさん聞きたいことがあった。
でもそれを聞いたら確実にあの雰囲気は壊れる。
そして僕も・・・。
「よし!他のとこも探してみよ!!」
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