――二年前(隆側)

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オレは、別に勉強なんてどうでもいいなかぁって思ってたんだ。もともと塾の模試とか平気で上位に食い込むから学校の期末なんか捨ててたし、でもあの子を見て変わった。あの子は一回第一図書室に入ってから数秒して戻ってきた。俺とすれ違ったけど相手は気がついていないみたいだ。さりげなく手元を見るとワークやらノートやらを持っていた。一ヶ月前なのにテスト勉強?それとも検定?でも検定だったらまだもっと先のはず・・・。ってことは確率的に期末・・・か。 オレはちょっと気になって急いで教室に戻った。第一図書室になんかいったって先輩ばっかだし、本も少ないし、だったらちょっと早いけどテスト勉理由に第二行ったほうが得かもな。 オレはワークやらノートやらを持って第二に行くとパッと見だれもいなかった。しかし見通しの悪い第二図書室、奥まで行くと案の定その子がいた。その子はおれに気がつかず、黙々と勉強をしている。オレはそっと近寄って声をかけた。 「席、いい?」 結構省いたセリフだったのでどうやら相手には意味が伝わってないみたいだ。しきりに怪しげな表情で首をかしげている。オレはもう一度噛み砕いてこう言った。 「席あいてるみたいだけど、座っていい?」 オレはそう言って手に持っていたワークやらノートやらを見せて同じ学年だよと示した。するとその子は意味を納得したような表情になってこう言った。 「あ、いいよ。ごめん、散らかってて」 声は綺麗だった。澄んでいて、よく通る声。オレはありがとうと言って席についた。席についてオレは名前を言っていないことに気がついた。なので、唐突になったが自己紹介をした。
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