――二年前(まひる側)

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私はなかなか思うように進まないテスト勉強に焦っていた。その日はまだテスト本番まで一ヶ月あまり前だった。放課後いつものように二階にある第一図書室に行くとそこにはその年大学を受験する先輩で溢れかえっていた。しかし話声は一切聞こえず、聞えるのは机を叩くシャーペンの音だけだ。誰もが黙々と勉強をしている。そんな中に入って行く勇気は私にはない。なので私は三階にある第二図書室へ行くことにした。第二図書室は第一よりも蔵書が多く、表に出されている図書も多い。例えるなら、第一は勉強するために、第二は本を読むためにあると言ってもいい。そして、人が第二図書室へ行かないわけはそこが日当たりも悪くじめじめとしているのが一番の原因だ。それにこの学校の生徒は目的の場所がないからと言って他の場所を探してまで何かをやり遂げようとするほど熱心でもない。なので私はそういうところはよく珍しがられる。 第二図書室に着いた。チラッと覗くとだれもいないようだ。しかしこの教室、死角が沢山あって一見だれもいなさそうに見えて人が入ることが時々ある。まぁたいてい図書委員だが・・・。中に入るとだれもいなかった。暖房もついていない。3階だから物凄く寒い。私は入ってすぐに奥の席に陣取ってそこの席にところだけ暖房をつけた。私が座っている席は入り口からは完全な死角で、中に入っても殆ど見えない。よくここにカップルが入るときがあるが今はテストに受験、そんな事は出来ないだろう。しかしこの席、第二図書室にしては日がよく当たり、天気がいい時はぽかぽかと暖かい。
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