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少女はすることもなく、ただ籠の中でぼーっとしているだけだった。
籠の格子に頬を当ててみる。
ひんやりとしていた。
少し錆が頬についた。
ただそれだけ。
この籠は何もない。
ただの鉄。
本当にただの
もろい鉄の鳥籠―。
そんな籠から一向に出ようとしない少女。
少女は思う。
―この中にいて、いいことはあるのだろうか。
考えてみる。
何もない。
だが悪いこともない。
少女がこの籠に納まっているのは、ただそれだけの理由。
何もない。
それが、少女にとって利点なのだ。
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