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『女…?』
黒いローブの男が言った。見つめる先には、一糸もまとわぬ少女の姿。
闇の中で成熟しきらぬ体の線が、白く浮かび上がる。
《女》。
黒いローブの男はそう言ったが、少女が人間ではないことは明らかだった。その両肩からは、巨大な黒い翼が左右に広がっている。
『華奢やし、大悪魔って感じはせんな』
顎髭の戦士が構えを解かずに応じた。
少女は瞑想するように目を閉じたまま、翼と同じ色の髪を夜の風になびかせている。
『これならいけるんじゃない?』
小人族の少女が言った…
瞬間。
黒翼の少女が、まどろみから覚めるようにゆっくりと、閉じていた目を開いた。
一対の金色の瞳。
異様な光を放つと同時に、その場のほぼ全員が竜巻に巻き込まれたかのように吹き飛ばされる。
顎髭の戦士は壁に叩きつけられ、黒いローブの男は、地面に這いつくばった。
立っているのはただひとり、盾を構えて備えていた、白鎧の青年。
『みんな、体勢を立て直して』
白鎧の青年が、盾を構えたまま言った。黒翼の少女の目が、そちらを向く。
『攻撃は全部、僕が引き受ける』
白鎧の青年が、剣を抜いて言った。
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