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お嬢様学校で有名な聖マルレーン学園も、この時期は浮き足立つ。
流石に、その空気は十和も感じるのだが――彼女にとっては、父親と親友にチョコレートを作る日。それから、優しい同級生や上級生や下級生にチョコレートを貰う日、という認識しかなかった。
しかし、今年は違う。
何しろ彼氏である歩と過ごす、初めてのバレンタインなのだから。
「本命へのチョコレート?」
「う、うん……」
質問返しにされると恥ずかしいが、確かにその通りなので十和は赤くなりながらも頷いた。
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