817人が本棚に入れています
本棚に追加
思い立ったが吉日、とばかりに十和は取材が終わった後、夜の街へとくり出した。
『和斗』だと騒がれてしまうので、髪を黒く染めて服も女物を着る。帰るのに、と歩には不思議そうな顔をされたが、買い物をしたいからと言ってテレビ局を出た。
「……高価(たか)いけど、何か違う」
結局、買うのは指輪にした。相手が歩だからこそ、特別なものをあげたいと思ったからだ。
けれど幾つかアクセサリーを眺めたがピンと来ず、十和はため息をついて百貨店を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!