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「菜由起きろ。」
「ん……起きる。」
「いつもそう言って寝んじゃねぇーかよ。さっさと起きろ。」
布団を剥ぎ取ると菜由はゆっくり目を開けた。開けられた目は太陽の光が眩しいのかすぐに閉じられた。
「んー」
まだ眠たい目をこすりながらゆっくり目をあけた。
「おはよ、菜由」
「ん」
菜由は寝起きが悪いから朝は口数が少ない。喋るのは、ほとんど単語だけ。
「下いこ」
おれがそう言うと、俺の手を握ってベッドからおりる。階段をおりる時も俺の手を離さない。小さい時から変わらないこと。
リビングの前になると、どちらからでもなく自然と手が離れる。俺はリビングに、菜由は洗面所に行くからだ。
毎朝軽いジョギングをした後に菜由を起こしにくる。小学校から変わらない朝の始まり。
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