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開いた手紙には綺麗な文字で、ほんの数行だけ書かれていた。
まだ当分かえれそうにありません。
寂しい思いさせてごめんね。
また連絡します。
短い手紙は母さんらしかった。でもそれが悲しかった。今どこにいるのかさえ曖昧で、母さんとの関係が薄れていく感じかして………
金なんていらないから隣にいてほしい。そんなこと言えない。だって俺は男だから………
「春斗」
みぃさんが優しく俺を呼んだ声が、凄く母さんに似てて一瞬涙が出そうになった。
「千里がいない分、私に甘えなさい。もっと我が儘言っていいのよ?男の子でも私たちから見たらまだまだ子どもなんだから」
みぃさんは俺が欲しい言葉をくれる。俺のことを見透かしてるみたいに。
「ありがとう。でも俺は十分みぃさんにも菜由にも尚くんにも甘えてる」
これは本当のこと。誰かに頼ってばかりで、頼ることしかできなくて……。まだまだ子どもなんだなって思い知らされる。
早く大人になりたい……
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