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見上げれば漆黒な空
見下げれば黒い渦のような奈落
自分が浮いているのか落ちているのかさえわからない不思議な空間
「やぁ、オーロラ姫。やっと会えたね」
いつの間にかオーロラ姫の目の前には黒いマントを羽織った青年がいた
彼はこの暗闇の中では不自然な笑みを浮かべた
「この日を待っていたよ。16年間、長かったよ」
彼はオーロラ姫の前に跪き、手の甲に軽いキスをした
「あなたは…誰?」
オーロラ姫の質問に青年の顔はみるみると悲しい表情へと変化していった
「嗚呼、なんてことだ…
僕は君のことを一瞬たりとも忘れたことないのに…。
仕方ないか、会ったときはまだ君は赤ん坊だったからね」
「赤ん坊…?それより、ここはどこなの?城のみんなは?」
うろうろと周り、誰かを探すオーロラ姫の姿をニコニコと微笑みながら見守る青年
此処は何処なのか
この青年は誰なのか
みんなは何処へ行ってしまったのか
オーロラ姫は不安で一杯になったが、慌てることも泣き叫ぶこともせず、青年に聞いた
「此処は何処であなたは誰なのかしら?」
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