プロローグ

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「ねえ父さん、まだ着かないの? 車が揺れて頭が痛いよ」 僕は、両親と共に家族旅行に来ていた。 旅行なんて口では言っても、所詮、考古学者の両親が昔から研究していた村に滞在しにいくだけだ。 それに、母さんの話だと本当に何もない、地図にも載らないような小さな山あいの村。 子供の僕には何も楽しくはない。 加えてこの悪路だ。 でこぼこ道なんて言葉でもまだ甘い。 車が進む度に、絶えず揺らして僕の体を痛めつける。 景色を見ようにも、右は山肌、左は崖で、その下は川が流れているだけ。 自然に溜め息が出た。
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