偶然の惨劇①~プロローグ~

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春風が心地よいこの季節は一本の電話と共に始まった。 いつも通り人探しの依頼。何も変わらない日常……のはずだった。 「それで……相手の名前は?」 そう聞くと今までよそよそしかった彼女の態度がさらに酷くなった。 1時間前にこの場所を訪れてから何かを隠すような仕草をしている。 気にせずとも彼女が答えてくれたのが幸いだった。(いたって普通の事なんだが) 「ヘンリー……ヘンリー・ルノワールです」 「ルノワール……フランス系かね?」 「フランス人です」 少しは慣れてきたのか彼女も私の目を見て話すようになってきた。 「するとアンリ・ルノワールで良いですね。特徴や何か情報を教えて下さい」 彼女の表情が急変した。
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