さようなら。初めまして

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登校時から一言も話さなかった幸村は漸くそれだけ呟き、佐助は彼の言わんとするものを察し代弁するように応える それに頷き再び黙り込んでしまった彼の気持ちは痛いほどにわかる 佐助も友人が、しかも一度に二人もがこの様な形で報道されるとは思ってもみなかったのだから当然だ そして彼らとは中学からの付き合いだからこそ余計に心配なのだ 「このまま政宗殿と元親殿に会えなくなるような事があれば、俺は…っ」 ニュースで映されていた現場には飛び散ったバイクの破片や衝突の衝撃で凹んでしまっていたトラックが事故の大きさを物語っていて、もはや助からないだろうと決め付ける生徒もいる そう思いたくはない だが悲惨な現場を見せられ気休めを言える余裕は幸村にはなかった 唇を噛み締め頭を抱えて最悪な状況を想像する 「旦那、あの二人が簡単にくたばる筈がないだろ?二人を信じて待とう」 「…佐助…」 「そんで帰ってきたら心配させた分奢ってもらっちゃいましょ?」 「はは、なら俺は一回殴らせて貰うで御座る」 少し元気を取り戻した幸村と佐助が互いに笑みを見せ、その声を掻き消すようにHRのチャイムが鳴る 二人を何時も後ろの席から見つめていた小柄な男は今日一日学校内に姿を現すことはなかった
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