2人が本棚に入れています
本棚に追加
手の中に納められたスティックと、変わり果てた姿のドラムを交互に見て、男はガックリと首をうなだれた。
その瞳には、うっすらと涙まで浮かんでいる。
「じゃ、あたしはこれで。お邪魔しました」
ウフフ……と小悪魔的な笑みを浮かべて立ち去るアッシー。
だが、残された男達からするとアッシーの微笑みは天使の微笑みから、悪魔の微笑みに変わっていた。
「また来てもいい?」
扉を開け、その場を立ち去ろうとした瞬間クルリとアッシーが振り返って男達に問いかける。
「二度と来るな!」
「ざ~んねん。何でそんなに怒ってるのかわかんなーい」
クスクスと小さく笑うと、アッシーはその場を立ち去った。
残された男達はそのまましばらく動くことができなかった。
あまりに突然で、あまりに突拍子な行動と、その結果の現実を受け入れるまで時間がかかったようだ。
いつでも、どんなときでも自分の欲求に素直に、そして己の思うがままに突き進む。
それがアッシー……
行け行けアッシー!他人の視線を顧みず、己の思うがままに突き進むのだ!
ま、周りはかなり迷惑なのだが……
~Fin~
最初のコメントを投稿しよう!