2人が本棚に入れています
本棚に追加
天使の微笑み……そうこの男が思えたのは、この一瞬だけだろう。
「それじゃあ早速……」
うふふ……と嬉しそうに小さく笑い声を上げ、軽やかな足取りでドラムに向かうアッシー。
ドラムの前に立つと、クルクルと器用にスティックを指先で回しニッと不敵に笑った。
「叩き方教えてあげようか?」
「ううん、いらない。あたし、ただ叩きたいだけだから」
「え?」
デレッとした顔でアッシーに言ったその男の顔色が、みるみるうちに変わっていった。
「せーの!」
元気良くそう言うと、アッシーはスティックを力任せに振り下ろした。
「ちょっ……」
男の制止も聞かず振り下ろしたスティックは、ドゴン!と言うけたたましい音と共にドラムに穴を開けた。
「おい!何するんだよ!」
デレデレした顔が一気に怒りで紅潮する。
「叩きたいって言ったじゃない」
最初のコメントを投稿しよう!