アッシーが行く

2/12
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
  「あたしは……あたしは……」   なにやらブツブツとつぶやいている女が一人。 周りに人が居る事なんて、全く気にかけるわけでもなくブツブツとつぶやくその姿に、少し不気味さすら感じるのだろうか…… 通り過ぎる人達は、どれも一様にいぶかしげな表情を浮かべてチラリとすれ違い様にその女に視線を飛ばしていた。   肝心のつぶやいている女の容姿を説明しよう。 ぱっと見中学生……いや、小学生でも通用するのではないかと言うほどの身長。 おそらく150センチあるかないか……と言ったところだろうか。 身長は小中学生並みとは言え、これでも立派な高校生である。   身長に似合ったように、顔の作りはまだあどけなさが残っている。 それでも、ふとした角度や表情によっては大人びて見える。 少女から女性へと成長している途中と言ったところだろうか。   髪はサラサラのストレート。 きちんと手入れをしているのであろう、つやつやと輝いているその髪質は思わず触れてみたくなるほどだ。   瞳はぱっちり二重。 すっと鼻筋が通り、小さな唇はほんのり桜色。 グロスを塗っているわけでもないのに、プルンと潤っている。   肌の色は透き通るように白く、大きく魅力的な瞳も、つややかな黒髪もとてもよく映える。   そう、彼女は黙っていればかなりの美女、若しくは美少女と言ったところだろう。 そんな彼女の名前は「芦屋 薫(あしや かおる)」通称アッシー。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!